第1問 小問集合
計算5問と小問4問。例年通りだが(5)で記述問題がなくなった分、サッと済ませられるようになったのではないか。空欄補充形式なので、「(2)は式の形から平方根を使う」「(3)は外角の和から解く」「(4)は変化の割合の公式を使う」などして時間短縮ができたのでは。計算が得意な人は3~5分程度で大問丸々1個完答(30点ゲット)できるだろう。
- (5)は中学で最後に習う「標本調査」の考え方も踏まえており、最後に習う単元ということもあってか、入試では軽視されがちなので、教科書の最後の最後まで気を抜かずしっかり押さえておきたいところ。(5)はうっかり8人と答えないように。100分の17をする生徒もいそうだ。
第2問 場合の数と確率
2017年に続き2年連続で場合の数と確率からの出題。2016年までは規則性の問題が扱われた。
- 昨年同様、(2)で記述問題として「考え方を書かせる」形式が出題された。高校の「数学A」で確率を習う時に、記述式で確率計算の根拠を書いていく(考え方を書く)ことになるが、全国的に見ると公立高校で記述式の確率問題が出るということは少ないと思われる(都立の独自入試や神戸の灘などの難関私立では出題が見られる)。ただ、本問は難易度が高くないので、採点者に伝わるよう丁寧な記述さえできれば得点できたものと思われる。
第3問 1次関数・規則性
一次関数が単独で取り扱われたことは珍しいことといえる。2004年に確率と一次関数の融合問題が出題されている。2005年以降全て放物線の問題。2011年に空間図形の中で一次関数が少量扱われている。一方で、(3)は規則性の問題だ。(1)~(3)を見て複合問題だといいたくなるが、(2)が解けていなくても(3)が解けるなど、複合性は無い。そもそも規則性の問題は等差数列で一次関数と接続されているからである。いずれにせよ、諦めずによく読んだ生徒は得点できたはず。本問を始め、数学にしては文章量が多い。思考難易度より、速読難易度や情報整理力難易度を検査したいように見受けられる出題である。この傾向は大学入試改革や2021年以降に行われる「大学入学共通テスト」(センター試験の後継として行われるテスト)のプレテストにも現れている。
第4問 連立方程式
他県にはあまり見られない石川県らしい出題傾向の問題。図表と条件を組み合わせて解く。問題側が要求している情報を的確に読み取り処理できるかが問われている。国語のような数学である。
例年のことなので書くのは今更感はあるが、石川県の公立入試では長年一貫して「方程式を自分で作って、解く」その一連の過程が記述式で、独立した大問になっている。このことは全国的に見て珍しい。他県を見てみると、小問の中に組み込まれていたり、「○○をx、△△をyとして式を作りなさい」「xとyを求めなさい」という構成だったり…というのがほとんどで、一連の過程を書かせる出題は少ない。ただし、「□□をxとする」など、定義の記述モレは大学入試の数学では大幅減点要素になる。大学入試の2次試験で、接線や接点を求める問題で何の断りもなくtという文字を使うと当然の如く減点を食らう。「この記述は正しいか?」を第三者に見てもらうクセを付けておきたいところ。当ゼミでは記述式の採点や添削は重点的に行っている。
第5問 作図
作図に8点の出題。作図は技能を問う問題だが、面積半分という条件に知識・思考・応用力の観点が見られ、複合問題に対処する視点が必要。2011年の第6問で鍛えた学生なら難しくない問題だ。
作図は高校内容では扱われないので不要ではと問う向きもあるが、それでも出題される理由は次のように分析される。出題者側が受検者に対し、①手先の器用さ、②作業の丁寧さ、③作図作業前の「脳内での図形組立て能力」の有無を問うているように見受けられる。後の第7問(3)にて、特に③番の理由の詳細を記述する。
第6問 平面図形
(2)は、通常の角度を問う問題ではなく、円周角を用いる問題である。問題全体を見渡すと「通常の角度を問う問題」ではない事を見抜けるが、その見抜き方は当ゼミ講師の秘技なので塾生のみに教える。
もしも角度の問題として本問にコメントするならば、角度の問題は本問のように「無限に時間を吸っていく」ことがある(別の表現をすれば「ドツボに嵌まる」ことがある)ので、条件を一通り書き込んで20秒考えて次の一手が見えなかったら飛ばすべきである。あとで戻ってきて優雅に解けばよい。入試は100点を取るゲームではなく高得点を得るゲームである。
第7問 空間図形
(3)の出題内容を分析するにあたっては、第5問の作図について問われていることと組み合わせて考えたい。本問でも「脳内での図形組立て能力」が問われている。この能力が日常の中で養われていることが理想だ。例えば、コンパスで同半径の円を連ねて描いて遊んだことのある生徒が、ジュース缶を何本も箱に入れると中でどのように並んでいたかを生活の中で経験したとする。これら2つが脳内で繋がる生徒が求められている。理想を言えば、親がこのような観点を持って子に接していると、本問の伝えたい数学的感性を子が獲得する上で有利である。
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