今年(2018年)中学を卒業して高校1年になる人たちから、大学入試が少し変わります。現在分かる範囲で解説をしたいと思います。まずは英語から。
従来の入試方式
2020年までは、国公立大に入る場合、
- 大学入試センター試験
- 2次試験(個別試験)
と2つのテストを受けて(大学や学部によってはセンター試験のみでOK)、他の科目との合計点で合格を決めるというシステムです。たとえば
- 金沢大学 医薬保健-医学類の場合…英語はセンター試験100点+2次試験200点で300点。(他の科目や面接を足し合わせて1,150点満点の勝負)
- 富山大学 工学部-電気電子a方式の場合…英語はセンター試験の200点のみ。(2次は数学・理科のみで合計点1,200点の勝負)
という風に、大学入学を目指す人はセンター試験を必ず受けて、学部によっては2次試験も英語を課して合計点で合否を決めるというシステムです。
※大学入試の場合、高校受験と違って全科目100点満点…のようにバランスよく配点されることはあり得ません!ご注意を!志望大学、志望学部を早めに決めて、試験科目に沿った勉強をしていかなきゃいけません!
私立大の場合は、「センター利用」と言って、センター試験の得点だけで合否が決まる入試方式もあり、センター試験が受験生にとっての一大イベントだということが分かりますね。
2021年以降の入試方式
現在進行中の「入試制度改革」により、この英語の試験が、2021年(今年の新高校1年生)から、
- 大学入学共通テスト(センター試験の後継)
- 外部試験(英検やTOEFL iBT、GTECなど)
- 2次試験(個別試験)
の3つになるとされています。ただ、これは現在進行中なのでどうなるかは分かりません。2018年3月10日の話ですが、「外部試験を入試として使わない可能性が極めて高い」と東大副学長がコメントしています。東大が言ったことで他の大学が追随するかもしれませんし、しないかもしれません。(各大学の方針に委ねられると思われます。ちなみに東大はセンター試験の英語でリスニングの得点を勘案しない数少ない大学でもあります)
外部試験について
で、問題になっている「外部試験」では、中学時代に英検など受けた人は経験があるかもしれないのですが、4つの技能が試されます。
- リーディング(読む)
- リスニング(聞く)
- ライティング(書く)
- スピーキング(話す)
特にスピーキングは、苦手とする人が多いというのは前々から叫ばれていたので、時代の流れからすれば当然といえば当然なのですが、普段から英語を「音」でトレーニングすることがますます重要になってくるでしょう。自習時の音読はもちろん、ALTの先生との会話や、金沢は今や観光地なので、外国人観光客への道案内など、スピーキング教材はどこにでもゴロゴロ転がっています。
また、ライティングですが、これもトレーニングを積んでいる人と積んでいない人の差が出やすいものになりそうです。英語で意見を書く時に、最初に書いたことと、最後に書いたことが矛盾していないか、途中に書いた文が主張をサポートするものになっているか、あるいはその中で時制が間違っていないか、3人称の-sを付け忘れていないかなど、細かなことまで気を配らなくてはなりません。
大学入学共通テスト
センター試験の後継とされる「大学入学共通テスト」のプレテストの英語問題がつい先日発表されましたので、見てみました。
今まで文法・語法問題が200点中47点分あったのですが、プレテストでは1点もありません。すべて読解問題でした。内容は、石川県の公立高校入試の英語第3問のような問題が多く見られました。
ただ、やたらと「授業の中で」の先生の発言や、生徒の発表に重きを置いた、いわゆる「アクティブラーニング」を体現させたような試験になっています。個人的に、アクティブラーニングは教育の現場で行うもので、問題の紙面上で行うとさまざまな誤解が生じる(というか問題として成立し得ない。授業が大事な国の方針は分かるが、授業で学んだことを使って英文を読んでいくということに重点を置かなくてどうする)と思うので、比重が減るなど今後変更・調整されていくのではないか?と思います。
いずれにしても、良くも悪くもスピーキングを必須にしたことは事実ですし、表層上は「コミュ力」も試されるようになってきています。今後の動向を見守りつつ、状況が変化する新高1年生は早め早めの資格取得を勧めたいと思うところです。
また、入試制度改革についてお問い合わせありましたら、お問い合わせやメールフォームまでお願い致します。分かる範囲でお答えしたいと思います。もちろん、現行制度の新高2生・高3生および保護者の方からのお問い合わせもお待ちしておりますし、高校受験生からの面談もお待ちしております。