2018年に高校1年生になる人向けシリーズ第2弾。2021年から入試制度がちょっと変わります。英語に続いて数学編。2020年までと2021年からの違いを大雑把に比較しましょう。
従来の入試方式
2020年までは、国公立大学受験生が受ける入試は
- 大学入試センター試験(マークシート式。量は多いが、途中の誘導が親切丁寧で、答えだけ記入すればいいので、計算力や公式を使う力さえあればそこそこ得点可。ただし時間の制約がきつい)
- 2次試験(記述式。問題を最初から最後まで自分で組み立てて答案を書いていく。答えよりも途中の過程が重視される。場合によっては答えだけ合っていても論理的に正しくなければ0点答案もあり得る。高校入試と違い、解答用紙に枠が記載されていてそこを埋めていく形式というよりは、1問に1枚、真っ白な解答用紙が配られるのでそこに着想、立式、計算、議論含めて全部書いていく形式)
の2本立てで構成されています。が、文系、特に人文系統志望の人は数学が苦手な方も多くいるんじゃないかと思います(偏見?)。国公立入試の場合はどうしても受験科目に数学がついて回るわけなんですが、学部によってはセンター試験だけでOKなものもあります。
- 金沢大学 人間社会-人文学類の場合…数学はセンター試験の200点のみ。センター試験の他科目と、2次試験の英語・国語で計1600点満点の勝負
- 富山大学 人文学部の場合…数学はセンター試験の100点のみ。センター試験の他科目と、他の科目と2次試験は英語と国語で計950点の勝負
など。数学の記述や論述がない分、少し楽になるのかなと思います(実際は数学の記述問題って、計算の混ざった小論文みたいなものだと思うんですけどね…)。
もちろん、数学が出来れば強みになる学科も一定数あります。
- 富山大学 理学部数学科…数学はセンター試験200点。2次試験は数学1科目のみでなんと配点900点。合計1800点中、なんと数学1100点(61%)。
- お茶の水女子大学 理学部数学科後期…センター試験は英語100点のみ使用、2次試験は数学のみで配点300点。合計400点中300点で数学比率なんと75%。ただし、センター試験の点数が低いと2次試験を受けさせてもらえない(足切り)場合があるのでご注意を。
まあやっぱり、理学部数学科の場合は数学の出来・不出来が合否のほとんどを左右しますね。専門とするだけのことはあります。
2021年以降の入試方式
で、2021年以降、何が変わるかと言えば、
- 大学入学共通テスト(マークシート式・一部記述式)
- 2次試験(記述式)
センター試験の後継となる「大学入学共通テスト」に一部、記述式問題が出題される予定です。
と言っても本格的に最初から最後まで論理的に一貫した答案を書かせる、というよりも、解答の一部を穴埋めにして、そこを答えさせるという内容です。プレテストを見る限りでは、難易度は教科書レベルと思われますので、私がいつも生徒に言っている「センター試験は教科書が大事」がそのまま当てはまるかなと。
ただ、共通テストのプレテスト問題を見ている限りでは、これも英語と同じく、やたらと「授業の中での発言」や「生活に密接した問題」が多く、特に前者は数学力を測るというより読解力やコミュ力を測るようなテストになっています(もっと別のいい解法があるのにA君の思考に合わせなきゃいけないんだね、この問題では…など)。
このあたりは従来のセンター試験の方が数学力を測るテストとしてはやや優れているかもしれません・・という論評はさておき、2021年以降の入試で必要なことは、従来のセンター試験から必要とされる「計算力」「公式運用力」、それに加えて「自分の言葉や式で簡潔に説明する力」ということになるでしょうね。
あとは、各大学で求める学力は大いに異なると思うので、大学側が課す2次試験で(論理的な思考力を含めた)数学力を測るということになってくるでしょうね。共通テストで記述式が導入されることにより、各大学各学部、2次試験との配点割合を調整するところも出てくるのかもしれません。
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