知人のKさんの了承を得たので、彼と彼のお父様とのお話を紹介します。
Kさんは、高校から私立に進学しました。
Kさんのお父様は何も言わずに学費を出してくれました。
Kさんが大学院を修了し、就職した後に、お父様はこう話されたそうです。
『僕は、君が公立の高校に行って、国立大学に進学するものだと思っていた。大学院も国立だと思っていた。でも、君は私立に行ったね。僕が思い描いていたものとは違うルートだったね。これから、君に掛かった教育費の差額分を返してもらう』
と。
ケチな父親だとか、がめついとか、様々な意見が出そうですね。
彼に聞いてみると、
『あと少しで返し終わるところです』
と答えました。
『どうして返そうと思ったの??』
と聞いたら、
『当時を振り返ってみると、実際、遊んだりしていて、勉強というか、努力が足りなかったなと。きっと、そういう所を父親は見ていたんだと思います。なので、返せと言われても当然だなぁとしか思わなかったです』
と言ってました。
無論、彼のお父様は、お金に困ってそのような話をされたわけではありません。
これは親子関係が築かれていなければ出来ないことです。
Kさんが自分を客観視されているからこそ、聞くことができた話です。
どのご家庭でも出来ますよ、というものではありません。
しかし、このような内省と責任感の涵養もあるのかと教えられました。