悩ましい質問ですが、面白い質問です。質問してくれたことに感謝します。
長くなったので結論を先に書いておきます。
小池さんがダメに見えるのは、常人の物差しで彼女を測るからです。私個人としては小池さんを全く支持しませんが、彼女は現代における政治家として一人前の素質を持つ人にみえます。
また「小池さんがダメ」ということにはもう一つの側面があります。小池さん個人がダメかどうかではなく、小池さんを選ぶ民衆こそダメなのでは?ということです。それが今回の選挙によって浮き彫りになり、はては「小池さんは何がだめなのか」というあなたの疑問につながっているように感じました。
以下つらつらと見解を述べます。長いです。覚悟してください。
個人的な推測ですが、彼女の傍には非常に優秀なメディア戦略家(民衆心理操作戦略家)の相棒が居るように想像されます。また本人もニュースキャスターでしたから、「テレビ等メディアが何を伝え、何を伝えないか」ということと、「どうしたらマスコミを使役し、自分の存在を民衆側へ伝えさせ、民衆に自分を好意的に思わせることができるか」ということを熟知しているように見えます。
小池百合子になぜ投票した?
30代女性
「口紅を忘れた時はかわいいなって。女子としてそれを忘れるぐらい頑張ってるんだなって感じがした」小池に投票した奴ってこんなのばっかだろ。というか、小池に投票する理由なんてあるの?
ペテン師に投票する都民の程度の低さにあきれるよ#ミスターサンデー pic.twitter.com/VikHehZPrD— xyz@経済活動を止めない、自粛は絶対にしない (@xyz0000000007) July 5, 2020
直接的に彼女に難があるとすれば、①学歴の詐称、②7つのゼロを公約にして当選したが実現もゼロであること、③蓮池透さんが明らかにした、小池さんが発したという心無い冗談、④またその冗談から垣間見える、他人の痛みを全く理解していないのではないかという人間像、ほかにもあったように思いますが、いま思い当たるところはこれくらいですね。
小池知事の公約の評価は超辛口。 pic.twitter.com/0lmVv34gY6
— 池川友一 都議会議員 (@u1_ikegawa) July 5, 2020
①の学歴詐称は「政治家としては」問題ないことです。現代の価値観では無論全くダメな事ですが、学歴を詐称したところで政治家としての手腕に問題がなければ「それはそれ、これはこれ」という片付け方が人々によってなされることでしょう。政治家と学歴に関しては、かつての日本に中卒の首相がいたことを忘れてはいけません。その首相は自宅前に行列をなす市民の様々な意見に耳を傾け、実行できることはすぐに実行したという話が残されています。その後有名な事件によって逮捕されましたが、新潟県の寒村出身のその首相は、今でも時々名を耳にするほど人気のあった政治家です。カネの撒き方と使い方が非常に上手な、日本全体と北陸の発展に寄与した政治家です。中卒が東大卒の官僚に指図をしていたわけです。旧制高等小学校卒なので、小卒の首相と言えなくもないですが、当時の高等小学校は中学生の年齢なので、実質は中卒。ちなみに彼は高等小学校を総代として卒業したそうです。高小卒後彼は上京し工事現場等で働きながら中央工学校(現存)の夜間部に通っていました。しかしこの学校は当時は法律上の学校ではなく、最終学歴はやはり高小卒(実質中卒)とのことです。彼は小池さんとは異なり、中卒だという学歴を隠したりごまかしたりはしていません。むしろ高小卒を自己の特色として売りにしていた面もあったようです。この中卒首相の一例のみで全てを語ることはできませんが、政治家を学歴ではかることには疑問をもっていいと思います。他にも例はあります。悪名高き鳩山由紀夫氏は東大卒です。僕は原子力に詳しいといいながら爆発直前の原発を視察し現場を混乱させた菅直人氏も東工大の物理卒です。官僚も負けてはいません。かつての大戦で日本の未来を担う予定だった若者たちの命を、赤色の紙切れと引き換えに取り扱っていたのも高学歴と机上の空論と根性論でした。学歴は八田與一氏のように人格があってこそ評価されるものであり、人格が学歴によって評価されるわけではありません。学歴に限らず物事の詐称は人としてどうかとは思いますので、小池氏の人格を学歴の詐称から低く評価することはできます。それでもなお、小池さんに限らず、政治家としての素質について学歴は絶対条件ではないように思います。②の公約不実現は問題があります。四年前、小池氏の公約に対して投票した人はいたでしょうから、実現に向けて行動すべきでしたが、彼女の公約はそもそもどれも実現可能性が乏しいものでした。つまり「人々の声を代理した」という役割は果たしましたが、「人々の声が実現した」という未来は来なかったし、これからも公約実現という未来は来ないでしょう。③の心無い冗談は人間として問題があるように思います。しかし過去の世界史や日本史を紐解けばわかるとおり、凡そリーダーと呼ばれる人は常人には理解できない精神構造の持ち主です。例えば織田信長、いったい何人を殺し、あるいは互いに殺し合わせたことでしょう。そして海外に目を向ければもっと多くの人を殺したリーダーが何人もいます。そのリーダー達を英雄視する者は後を絶ちません。まだ生まれてない人でさえ、生まれて生きていく中で大量殺人犯である彼らを知って、それでもなお彼らリーダーのファンになる予定の人がいることでしょう。100年後でさえも。リーダーとは何でしょう。ある人の声に多くの人が耳を傾けるなら、その「ある人」はリーダーです。そのリーダーの人格如何にかかわらず、多くの人の思いがまとまることがあります。リーダーの思いがAだったとしても、民衆がみなBといって(あるいはリーダーとその周囲の者が民衆にBと思わせて)そのBが民衆の力で叶ったとしましょう。そうなれば、たとえはじめリーダーがAという思いを抱えていたとしても、そのリーダーはBの成果で名がのこります。これはつまり、リーダーのはじめの状態であるAの中身は、空っぽでも問題なく民衆をひとまとめにできるということです。小池さんは私には「空っぽ」な人に見えます。しかし大変優秀な宣伝屋である(または優秀な宣伝屋を味方につけている)ようにも思います。④の他人の痛みへの無関心は人格攻撃のようになるのであまり言及しませんが、③は④から来ているのだろうと推察します。他人の痛みが分からないという脳の仕組みを持つ人は存在します。彼女がそれに該当するかはわかりませんが、彼女がその「他人の痛みがわからない人」の可能性は高いのではないかと感じています。しかしこのことも「政治家」や「代表者」になる人としては、必要な素質なのかもしれません。
彼女の発言に関しては下記をご参照ください。真偽は不明ですが「火のない所に煙は立たぬ」ともいいますので。
2002年9月17日、涙の記者会見をしている横田さんご夫妻の真後ろに立っていたのは小池百合子氏。
終了後、一度出て行った小池氏、戻って来て一言。「あったあ!バッグ」「私のバッグ、拉致されたかと思った」
あれ以来彼女のことは信用していない。— 蓮池透 (@1955Toru) August 22, 2018
2002年9月17日、涙の記者会見をしている横田さんご夫妻の真後ろに立っていたのは小池百合子氏。
終了後、一度出て行った小池氏、戻って来て一言。
「あったあ!バッグ」「私のバッグ、拉致されたかと思った」
あれ以来彼女のことは信用していない。
そういえば思い出した。特定秘密保護法を審議していた委員会。法案の中身について法案の危険性を危惧する国民からのfaxを示して追及していた玉城の背後から女性の声で「日本語読めるんですか?分かるんですか?」と呟く声がした。質問を終えて振り返ると今をお騒がせの女性都知事候補その人だった。
— 玉城デニー (@tamakidenny) July 16, 2016
そういえば思い出した。特定秘密保護法を審議していた委員会。
法案の中身について法案の危険性を危惧する国民からのfaxを示して追及していた玉城の背後から女性の声で
「日本語読めるんですか?分かるんですか?」と呟く声がした。
質問を終えて振り返ると今をお騒がせの女性都知事候補その人だった。
阪神大震災の後、小池の地元である芦屋の女性たちが議員会館を訪れ、窮状を訴えた。マニキュアを塗りながら適当に聞いていた小池は、塗り終えるとこう言った。
「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます? 私、選挙区変わったし」 https://t.co/gxv0phGQW0
— 武田砂鉄 (@takedasatetsu) June 5, 2020
阪神大震災の後、小池の地元である芦屋の女性たちが議員会館を訪れ、窮状を訴えた。
マニキュアを塗りながら適当に聞いていた小池は、塗り終えるとこう言った。
「もうマニキュア、塗り終わったから帰ってくれます? 私、選挙区変わったし」
文春オンライン 6/10(水) 6:00配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/e3a13b1f79d8ebfb47f59ad766d124bed4c91eac?page=2
築地中央卸売市場の豊洲移転に反対。仲卸業の女性は小池氏の演説に感動し「ジャンヌ・ダルクになってくださいね」と訴えた。小池氏はテレビカメラも報道陣もいない場所になると「ジャンヌ・ダルクはね、火あぶりになるからイヤ」と笑顔で言った。
上記4URLのまとめ引用元
http://blog.livedoor.jp/toshi_tomie/archives/52335812.html
彼女には「都知事になって都を変えたい」という部分、ビジョンが見当たらないようにも思います。しかしそれは「余計なことをしない首長」という側面をもっています。この「余計なことをしないリーダー」ということを良しとする人もまた、少なくないということです。現に今回二期目当選を果たしたことが、このことを裏付けています。これは、ほかにまともな候補者がいなかったこともあるでしょう。(さてまともな候補者とはどんな候補者なのでしょう。疑問は尽きませんね。小池さんに話を戻します。)都政において「対メディアの顔」「代表して発言する人」という役割が首長にあるなら、小池さんはそれを完璧にこなしているようにも思います。また、「わたしがCと言ったらCしなさい」というふうに見える小池さんの様子が、リーダーらしく頼もしく見えるのかもしれません。彼女がマスコミを使って私たちにそのように思わせているのかもしれません。言うことが正しいけれど他人に強く言えないリーダーより、言うことがコロコロ変わるけれど他人に強く言える人をリーダーとして皆が求めた。なんと時代も状況もコロコロ変わる。・・・彼女のよくない点を書こうとしましたが、いい点もあるのかもしれません。
常識的に考えれば問題の多い人で、しかもその人が選ばれたことも問題であるように思います。一方、「常人には理解できないところで彼女は思考し行動しているだけ」なのかもしれない。いずれにせよ、ほかの候補者よりはましだったかもしれません。繰り返しになりますが、「余計なことは何もしなさそう、でもコロナ対策も表に立ってやってくれている『ように見える』ところがいい」という感じでしょうか。政治のあり方の難しさを改めて思います。
さて、質問は「何がダメか」でしたね。小池さんは人としては難ありに思われます。しかし政治家としては一人前ではあるのでしょう。選挙全体についていえば、小池さんが都知事に再び選ばれたということは、人々は結局「変化をもとめていない」ということにほかなりません。変化のないことは「死」そのものです。つまりこの選挙では、選ばれた小池さんより、選んだ人々の側に大きな問題を感じます。
さりとて、ほかに誰に投票すればいいの?というのが都民の素朴な疑問でしょう。ポッと出の「何者かわからない人」に投票もできず、殺人犯の人権を守ることに生涯をかけてきた弁護士に投じることもできず、やたら外国人の人権に声高でしかも「カネ撒き政治」を主張する元俳優に投じることもできず、NHKをぶっ壊せない人に投じることもできず、言ってることは正しくとも人心掌握術に欠ける排他主義者に投じることもできない。
これは皮肉でも嫌味でもないのですが、ぜひ、あなたが立候補したら「何を主張し、何をどう変えるか、それによって何を目指すか」を考えてみてください。もしまた意見を交換してくれるなら、どれだけの時間を割いてでも一緒に考えます。いいえ、ぜひ私にも考えさせて下さい。
老婆心ならぬ老翁心を添えておきますと、こういった政治の話は、話しているだけで全く意図せぬうちに「敵」が増える話題です。社会人になったら「政治と宗教と野球の話はするな」と言われます。従う必要はありませんが、なぜそういわれているのか理解したうえでご自身の言動を決定してください。よって、今回のような政治に関する話は、私含め「先生」と呼ばれるような人や、もしくは信頼できる友人など、あなたとの間で「利害」が関係しない人(あるいは「感情」と「論理」を別にしようと日々努めている人)とのみ、話す方がよいでしょう。
ぜひ意見を聞かせてください。長々と失礼いたしました。