長くなったので結論から先に書きます。
「傷つくかどうかは受け手次第」
▼以下本文
【私の心を傷つけるのは私だけである】
人は日々様々な言葉や状況に心を揺さぶられます。
傷つくことは誰しもにあります。
さて、私たちを傷つけているのは誰でしょう。
誰かの言葉や、外部の状況でしょうか。
ネットで「自分を傷つけられるのは自分だけだ」という意見を見つけました。
今回は、これについて書いてみます。
【差別と時間コスト】
差別は、心が傷つく原因のひとつです。
やられたら嫌なことを他者にやってはいけません。
そんなことは当然のはずです。
ではなぜ人は、差別をするのでしょうか。
それは「物事を短時間で評価するため」です。
人は、世界中の本を読み尽くすことはできません。(助詞「は」の連続をお許しください)
世界中の人と「分かり合えた」と思えるまで話し尽くす時間もありません。
人は、いちいち他者や物事を、長時間かけて細部まで評価する時間を持ちません。
そこで人は、効率化のために、人をレッテル貼りし分類しています。
レッテルはオランダ語でレター:つまり文字のことです。
ラベル、レーベルも同様の意味を持っているようです。
人は人に「ラベル貼り」をして整理している、と見做そうというわけです。
あなたが今話したい人、
あなたが今話したくない人、
これも「レッテル貼り」です。
差別のつもりは無いでしょうけれど、差別ですよ。
1.差をつけて扱うこと。わけへだて。「差別待遇」
2.区別すること。けじめ。「商品の差別化を図る」
( Oxford Languages より)
用例の「差別化を図る」という言葉からも理解できるとおり、
差別という単語に、心が傷つく要素が大きく含まれているとは言い難いでしょう。
では、なぜ差別が、心を傷つける要素を持つのか。
例に挙げた「ネットで見た話」にはこう続きます。
相手を不快にさせることで自己の攻撃性を満たす人も、
差別された際に不快を感じれば「攻撃された」と感じるわけです。
差別を自己満足の為に使っている人は、差別された時に傷つく、つまり、
「傷つく」とは、「他人に向けている刃が自分に刺さっている」ということです。
塾で教えている、分かりやすいと思われる例を示します。
「背の高い人は、チビと言われても傷つかない」
などです。
なぜ、傷つかないのでしょうか。それは、
「背の高い人は、自分をチビだと思っていないから」
つまり、背の高い人でも、自分を「より高身長の人」と比べ、妬むよう日々心がければ、
自分のことを「チビ」だと悲しむようになることができますから、
「チビ」と言われた時に傷つくことが可能になります。
先程述べたことから「チビ」だといった側はなぜ逆の立場になったときに傷つく、といった
それは、「チビ」と言ったときに相手を傷つけよう、不快にさせようといった感情を持っているからです。無意識でもそのような意図をもって行った行為
つまり、自分が
オランダ人の男性の平均身長は184cm、女性は171cmらしいので、
オランダで生活すれば、あなたも「チビ」という言葉に傷つく能力を得られるかもしれません。
「差別と、心の痛み」
は、
「時間コスト削減の結果と、(自覚無き)優越意識の結果」
だと言えそうです。
【言葉と感情の連鎖】
傷つきやすい人は、脳内の言葉の多くが悪意と連結しています。
(悪口を言う人は、悪口を言われることに頗る弱いです)
人は言葉によって、関連する感情や記憶を再生します。
例えば、子供の頃に「バカ野郎!」と言われて暴力を振るわれて育った人は、
「バカ」という言葉と「怒り」や「暴力」が強く結びついています。
そのため、大人になってから「バカ」と言われただけでも、
過去の恐怖が蘇ってしまうのです。
一方で、愛情を込めて「バカだね~」と言われて育った人は、
「バカ」という言葉に肯定的な感情が結びついているため、
同じ言葉でも全く違う感情を抱きます。
大変残念なことに、意識せず生きれば、
親になった時、子に同じことをいたしますため、
負の子育ては負の連鎖を起こし続けます。
このこともあって親たちは、
我が子がどんな人と交流を持つか心配になるのでしょう。
【「繊細」と「鈍感」の嘘】
一般に、傷つきやすい人は「繊細」、傷つきにくい人は「鈍感」と表現されます。
しかしこれは表面的な見方に過ぎないと件の意見は説きます。
私も彼の言う下記に賛成し、本論の重要な点(自己責任的である点)だと考えます。
SNSで他人を攻撃する人が、自分が攻撃された際に脆いのは、彼らが脳内で多くの言葉を悪意と連結させているから。
【脳内辞書の再構築】
言葉と悪意の繋がりを「自ら」断ち、良い感情や状況と結びつけて下さい。
例)
「貧乏」 → 「情けない」「苦しい」ではなく、
「貧乏」 → 「しぶとい」「たくましい」です。
その言葉から受ける印象は大きく変わります。多くの人は、自分の内面という最も変えやすい場所を放置し、外の世界を変えようとしますが、それでは根本的な解決にはなりません。
結論——自分自身と向き合うことの大切さ
本書では、心の傷つきやすさは、言葉と感情の連結によって引き起こされることを示しました。大切なのは、自分の内面と向き合い、言葉の意味を再構築することで、心の鎧を脱ぎ捨てることです。自分を褒めることも、自己肯定感を高め、言葉の受け止め方を変える上で重要な要素となります。自分自身を理解し、内面を整えることこそが、より生きやすい人生への第一歩となるでしょう。